タイでお店をしていた頃
隣でハンドメイドの枕を販売していた女性のことを思い出す。
家にはお母さん、お父さんや兄弟などと一緒に
10人くらいで小さな家に住んでいた。
彼女は家計を支える役目をになっているらしく
稼ぎも、家事も奮闘している様子だった。
口癖は、
「お金を稼いで、家族を楽にしてやりたい」
友達がいなかった僕にいつも気を使ってくれて
お客さんともろくに会話できなかったとき
代わりに接客してくれたあとで
これだけは覚えておいた方がいいっていう、英語やタイ語を教えてくれたり
金がなくていつも昼飯が買えなかったぼくに
「あなたように、辛くないお弁当つくってきたよ」
なんていつも優しくしてもらった。
いつも笑っていたけど
売り上げが悪いと、店の隅っこで悲しそうな顔をしていた。
ボーイフレンドに別の女がいたのを知ったときは
そのことを話ながら泣いてすごく落ち込んでいたので
マイペンライ、マイペンライって
ハグをしたのを覚えている。
彼女がオーストラリアの仕事がきまって
お店を離れるとき
またいつか、必ず会おうねって
ハンドメイドのぬいぐるみをくれた。
いっぱい稼いで家族を楽にさせてやる
って目がキラキラしていた。
未来はきっとよくなるよねって
今朝、コーヒーを飲みながら
ふっとその人のことを思い出した。
豊って、最高に楽しい”今”を表すものだけじゃなく
振り返って気づく、楽しいとは異なるそれがあるのでしょう。
出逢いから生まれるその感覚はおそらく
表情にも、言葉にも、創るモノにもでるであろうし
大事にしていきたいなぁ、と想った。